アジア太平洋地球変動研究ネットワーク(APN=Asia-Pacific Network for Global
Change Research)は、アジア太平洋地域における地球変動研究を推進し、科学研究と政策決定の連携を促進することを目的とする政府間ネットワークです。
はじめに
アジア太平洋地球変動研究ネットワーク(APN)は、アジア太平洋地域における地球環境変化の研究を推進し、その研究への途上国からの参加を促進し、科学者・研究者と政策決定者との連携を強化することを主要目的とする政府間ネットワークです。APNは、気候・海洋・陸上のシステムについての長期的な地球規模での変化に関する研究活動や、関係する物理学・化学・生物学・社会経済学のプロセスに関する研究活動を推進・支援しています。
APNの加盟国は、オーストラリア連邦、バングラデシュ人民共和国、カンボジア王国、中華人民共和国、フィジー諸島共和国、インド、インドネシア共和国、日本国、ラオス人民民主共和国、マレーシア、モンゴル国、ネパール王国、ニュージーランド、パキスタン・イスラム共和国、フィリピン共和国、大韓民国、ロシア連邦、スリランカ民主社会主義共和国、タイ王国、アメリカ合衆国、及びベトナム社会主義共和国の、21ヶ国です。
APNの活動は、毎年開催される政府間会合で決定され、運営委員会と科学企画グループの助けを得て行われています。各地域の地域連絡員とのコミュニケーションも活発に行っています。活動の概要は以下に示しますが、さらに詳しく知りたい方は、『機関の運営細則』をご参照ください。
構成
- 政府間会合(IGM)
APNの意思決定機関である政府間会合(IGM)は、APN加盟国がそれぞれ任命する政府代表が出席して、毎年開催されます。また、科学企画グループ(SPG)の共同議長は、その職権上の立場から、IGMへの出席を招聘されます。さらに、地球変動研究機関や地球変動への対応策に携わる国際機関、国内・国際的支援機関からオブザーバーが参加することもあります。
- 科学企画グループ(SPG)
科学企画グループ(SPG)の任務は、次に示すとおりです。
- 政府間会合(IGM)での検討のために、科学的研究プログラムについて勧告する。
- 運営委員会(SC)や事務局と共に、科学的研究プログラムの活動を調整する。
- APNを代表して、他の国際的な地球変動研究計画と相互協力する。
- 政府間会合(IGM)や運営委員会(SC)が指摘するその他の科学的関連事項について、対応する。
- 運営委員会
運営委員会は、前回と次回のIGM開催国、科学企画グループ(SPG)共同議長、APN事務局長で構成されます。また、地球変動に関する分析・研究・研修システム(START)国際事務局などからオブザーバーが参加します。
- 地域連絡員
APN地域連絡員は、オセアニア、南アジア、東南アジア、及び温帯東アジアの各地域でAPNを代表して行動し、地球変動に関する情報の普及を行っています。
各連絡先については、APN関係者名簿 のセクションをご覧下さい。
APNの目的とは?
地球変動
地球環境変化に関する科学的不確実性を減らすために、地球環境問題が人間の健康と生態系に与える影響とその複雑なメカニズムを理解・把握することが重要性を増してきています。
APNは、複雑な気候・海洋・陸上のシステムや物理学・化学・生物学・社会経済学のプロセスに関する研究を支援するために、アジア太平洋地域において活動しています。
APNの目的
地球変動研究は、国際的な協力を抜きにしての成功はありえません。国際的な研究計画の下での、科学的な共同プロジェクトの実施によってのみ、成功するものです。現在、世界を3つの主要地域(南北アメリカ、欧州・アフリカ、及びアジア太平洋)に分けて、政府間ネットワークが地球変動研究を支援しています。APNは、その3つの政府間ネットワークの一つです。ほかに、地球変動研究のためのヨーロッパネットワーク(ENRICH=European
Network for Research in Global Change)と、全アメリカ地球変動研究機関(IAI=Inter-American
Institute for Global Change Research)があります。
APNでは、以下の目標の促進を目指しています。
- 特にアジア太平洋地域に関係する諸問題に関する地球変動研究における地域協力を支援すること
- 研究者及び政策決定者の相互作用を強化し、科学的な研究成果の政策決定過程への提供と一般市民への科学的知見の普及を行うこと。
- アジア太平洋地域諸国の科学的・技術的な能力を改善すること。
- 地球変動研究に関連する科学的データ及び科学的情報の標準化・収集・分析・交換を促すこと。
- 他の地球変動研究ネットワーク及び地球変動研究機関と協力すること。
- 研究基盤の構築・拡充とノウハウ及び技術の移転を促進すること。
なぜAPNが設立されたのか?
APN設立の背景には、姉妹ネットワークであるENRICHやIAIの設立がありました。
APN、ENRICH、及びIAIの3つの政府間ネットワークは、1990年に行われた地球変動に関係する科学研究と経済学研究に関するホワイトハウス会議でのブッシュ米大統領(当時)の提唱に対する世界各国の賛同によって、設立されることになりました。ブッシュ大統領の提唱は、途上国における地球変動研究の拡充、真の多分野横断的な研究・教育に対する支援、及び国家政策・国際政策の策定のニーズを補助する適切な科学的基盤の構築を対象とした、先進国とその科学研究コミュニティーの関心と能力を結びつける3つの地域研究機関を発足させようというものでした。
アジア太平洋地域の諸国では、地球変動分野の研究活動が数多く実施されていますが、より密接な国際協力や調整、情報交換が必要です。
なぜAPNはアジア太平洋地域を対象としているのか?
アジア太平洋地域は、地球環境問題を理解するのに、重要な地域です。様々な大気・海洋に関する現象がこの地域で発生しています。例えば、アジアモンスーン現象やエルニーニョ現象ですが、これらは世界の気候に影響を及ぼします。また、アジア太平洋地域には、熱帯林や砂漠、山岳域などが存在します。
さらに、全世界人口の過半数となる約30億の人口を数え、経済成長率も世界で最も高い地域です。その人口増加率と経済活動によって、アジア太平洋地域の地球全体の気候変動に与える影響度は、大きいものとなっています。森林破壊や砂漠化などの環境破壊も、その結果として発生する洪水や旱魃などの自然災害も、大きな懸案問題となっています。.
したがって、アジア太平洋地域の地球変動に関する観測・モニタリング・研究は、地球全体で発生している環境変化を理解するのに必要不可欠なのです。さらに、科学研究コミュニティーと政策決定者とのより協力な連繋が必要です。APNはその要請に応えるために設立されました。
他機関等との関係
大規模な科学学術連合によって創設された既存の研究プログラムは、APN活動の重要な基盤となっています。以下の研究プログラムは、地球環境変化やそれに付随する社会的変化に関する科学的不確実性を減少させることを目標としています。
- 生物多様性科学国際協同プログラム(DIVERSITAS)
- 地球圏-生物圏国際協同研究計画(IGBP)
- 地球環境変化の人間・社会的側面に関する国際研究計画(IHDP)
- 世界気候研究計画(WCRP)
この4つの研究プログラムは、地球変動に関する分析・研究・研修システム(START)を通じて、地球変動への地域的な寄与度合とその影響に関する研究能力開発と研究活動の強化のプランを策定しました。
APNは、START及びアジア太平洋地域内のSTART地域委員会(STARTオセアニア、START南アジア地域委員会(SASCOM)、START東南アジア地域委員会(SARCS)、START温帯東アジア地域委員会(TEACOM))と密接な協力体制を築いています。
APNのネットワークを通じて、各国政府はその科学研究プロセスへの必要な支援を、共同にあるいは個別的に提供することができます。
APNは、他の地球変動研究を支援する政府間ネットワーク(南北アメリカのIAI(1992年設立)、及び欧州アフリカのENRICH(1992年設立))との協同も行っています。
また、地球変動関連研究を扱うその他の国際機関や関連民間・政府レベルの意思決定機関とも共同で活動することもあります。
国家計画に基づいた地域レベルの活動を構築し、各国の優先事項に配慮することは不可欠です。ほとんどの国では、中央政府によって、地球変動に関する政策や計画に助言を与え、地球変動研究を促進するための国家機関を設立しています。各国内の研究コミュニティーは、地球変動活動の調整を目的とした学会や評議会を設置しています。APNや他の地球変動研究プログラムの成功は、継続的かつ効果的な国家計画との連携にかかっていると言えます。
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